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2017年5月18日 (木)

8月公開予定・映画『夜明けの祈り』

実話を元にした映画。1945年冬、ナチス・ドイツの占領からソ連軍によって解放されたものの、社会主義政権が樹立し、ソ連の傀儡国家となってしまったポーランドが舞台だ。

ポーランド国内で負傷したフランス兵らの治療に当っていたフランス赤十字の女性医師のもとへ、修道女が助けを求めに来る。修道院には臨月を迎え苦しむ修道女が。ソ連侵攻時、修道院に押し入ったソ連兵によってレイプされ、子どもを身ごもったのだった。

神に仕えて貞潔であるべき修道女が蛮行によって子どもを身ごもる。しかも宗教を敵視する社会主義政権が樹立。修道女は助けを求めることも出来ず、息を潜めながらじっと苦しみに耐えていた・・・。

こうやって書き出すだけで息の詰まる閉塞感がよみがえる。あらゆる野蛮をかき集めたのが戦争だが、それにしても今、映画にする意義というものがあるはずである。

閉塞状況の中で苦しみに耐える人々。地位のある人間が、弱き者のために力を尽くさなければならないはずだ。しかし現実はそうなってはいない。閉塞状況は戦時下に限らない。学校、職場、地域、どこにでも生まれうるものだろう。

そして地位のある人間も、じつは慣習、慣行、世間体、自己保身、体面、立場などといったことどもに縛り付けられ、苦しんでいたりする。こういう描き方はいかにもヨーロッパの作品だなと思う。

とはいえ、自らも苦しんでいるからといって、弱き者に沈黙と苦痛を強いる振る舞いが良しとされていいはずはない。

作品のキーワードの一つは「祈り」だろう。ところで祈りといえば、安倍昭恵の「祈ります」はただの現実逃避だが、作品中にも似たような場面が出てくる。他方、「祈り」が人の心を動かすこともある。

その差は「己の身をかえりみない」というところにある。作品はそこに救いと希望を見出している。

2016年/フランス・ポーランド作品/115分
監督/アンヌ・フォンテーヌ

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